「日本マスター信託口」って何?日本の大企業に居座る謎の大株主。

日本の株主
お盆も明けました。

お盆明け本日の日経平均株価は、下落となりました。
16,745.64円 前日比 +149.13円(+0.90%)

相変わらずの夏休み相場で薄商いが続いていますが、今日はドル円為替が円安に戻すなかで、買い戻す勢力が勝った株式相場でした。

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日本の大企業の株主と「日本マスター信託口」「日本トラスティ信託口」

「日本マスター信託口」

「日本トラスティ信託口」

これを聞いて「あ、なんか聞いたことある」となる方は、投資の勉強に熱心な人とかで、会社四季報や日経会社情報などをよく読んだことのある方でしょう。

会社四季報といえば投資家のバイブル的な存在です。東洋経済新報社より1年に4回刊行され、上場企業やREIT・ETFなど上場投資信託などに関する情報などを掲載している辞書のように分厚いハンドブック。

 

一方の日経会社情報も同じような情報冊子ですが、こちらは日本経済新聞社より刊行されているものです。

そんな会社四季報や日経会社情報の株主構成の欄をみていると、トヨタやキャノン、NTTから任天堂など日本を代表する大企業のページで、この「日本マスター信託口」「日本トラスティ信託口」が上位株主として居座っていることに気がつきます。

彼らはいったい何者なのか、当然気になりますよね。

我々の年金基金を管理

竹林のイメージ
まず、日本マスター信託口の「日本マスター」というのは、日本マスタートラスト信託銀行のことを指しています。そして、日本トラスティ信託口の「日本トラスティ」とは、日本トラスティ・サービス信託銀行のこと。

この二つの銀行がどんな銀行なのか、は少し置いておいて、

次に気になるのは、「じゃぁ、信託口はなに?」

 

「信託口」とは、信託銀行が自分のために株を買って保有している分ではなく、他より預かって(委託)管理している口座のことです。

信託銀行というのは、有価証券の保管や管理事務を行う資産管理業務に特化した銀行です。他人財産を預かって、その委託者の代わりに株を購入したりもしています。その際、購入者の名義は信託銀行となりますが、実質的な保有者はもちろん委託者です。

信託銀行は、その管理料としての儲けが収益となるわけですね。

 

また、会社四季報などの大株主名簿では、信託銀行分(自己保有分)と信託分(他人財産の預かり管理)とを分けて開示されています。

「信託口」は投資信託という意味でもありません。信託銀行に委託契約している分が「信託口」となるので、投資信託もあれば、株式なども含まれます。

 

日本マスタートラスト信託銀行と日本トラスティサービス信託銀行は、資産管理の代理人業務がメインの金融機関です。運用資金は年金や大手損保の資金であり、信託銀行を通じて各企業に投資活動を行っています。

そして、これらの大口顧客の中に、GPIF(年金積立金運用独立行政法人)がいます。つまり、GPIFが保有する我々の年金基金は、これらの信託銀行が管理しているというわけです。

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上位株主としてよく登場するその他の機関投資家

ボス猫
その他にも、日本の大企業には、こんな名前がよく上位株主として登場しています。

  • 日本TS信託口
  • ステート・ストリート・バンク&トラスト
  • ステート・ストリートBウエストペンション
  • ステート・ストリートBウエストトリーティ
  • バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
  • JPモルガン・チェース・バンク
  • チェース・マンハッタン・バンクGTS(エスクロウ)
  • ゴールドマン・サックス・インターナショナル
  • 資産管理サービス信託銀行
  • 日本生命保険
  • 明治安田生命保険

これらを見ると、いかに外資が日本の企業に食い込んでいるのかがわかります。

例えば、ステート・ストリートはアメリカのボストンに本社がある大手金融機関ですが、日本の年金基金や郵便貯金および簡易保険などの資産管理もしています。

彼らがいわゆる、「機関投資家」と呼ばれる面々ですね。

機関投資家は一般投資家と異なり、個人ではなく法人として巨大な資金で投資活動を行っています。彼らが動けば、株価が上下することが多いので、個人投資家としてもその動向が気になるところです。

 

ちなみに、最近話題の日銀のETF買い入れは、住友信託銀行が行っています。

実質的な支配者・オーナーは誰?

大株主 
それでは「日本マスター信託口」を管理する日本マスタートラスト信託銀行とは、どんな会社なのでしょうか。

 名称日本マスター信託口
管理会社日本マスタートラスト信託銀行株式会社
信託財産残高371兆円(2016年3月末現在)
主要株主三菱UFJ信託銀行46.5%・日本生命保険33.5%・明治安田生命保険10.0%・農中信託銀行10.0%
備考1985年にチェース・マンハッタン信託銀行として設立

日本の国家予算が約96兆円なので、なんとその4倍近くの資産を管理しています!

そしてここからは、株主をさかのぼってみましょう。株主と言えば、その会社のオーナー、支配者、権利者。つまり、この莫大な資産管理をする会社の実質的な支配者は誰になるか…

まず、筆頭株主は三菱UFJ信託銀行。三菱UFJ信託銀行の株主は、三菱UFJフィナンシャル・グループ100%。さらに三菱UFJフィナンシャルグループの株主(2015年9/30現在)はというと…

  • 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 5.09%
  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)   4.09%
  • THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10:1.86%
  • STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY:1.54%
  • THE BANK OF NEW YORK MELLON AS DEPOSITARY BANK FOR DR HOLDERS:1.39%
  • STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223:1.35%
  • STATE STREET BANK WEST CLIENT – TREATY 505234:1.34%
  • 日本生命保険相互会社:1.30%

あれれ、筆頭株主にもう一方の日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)が出てきました。

ということは、実質的にはこちらが黒幕なのでしょうか?

 名称日本トラスティ信託口
 管理会社日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
信託財産残高226兆5125億94百万円(2015年3月末現在)
主要株主三井住友トラスト・ホールディングス66.66%・りそな銀行33.33%
備考2000年に大和銀行(現・りそな銀行)と住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)の共同出資により設立

こちらの筆頭株主は…

66.66%の株式を保有している三井住友トラスト・ホールディングス(2014年3/31現在)です。なら、この三井住友トラスト・ホールディングスの株主は…

  • THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10  3.99%
  • STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY  3.95%
  • 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 3.77%

でした。

THE BANK OF NEW YORK MELLON (ニューヨークメロン銀行)は、アメリカのモルガン財閥、ロックフェラー財閥に次ぐメロン財閥系の大手銀行です。

 

ちなみに、33.33%を保有するりそな銀行の株主の方は…
りそなホールディングスが株式を100%保有。

じゃぁ、りそなホールディングスの株主は…

  • 第一生命 5.49%
  • 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 3.41%
  • 日本生命保険 2.86%
  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 2.84%
  • GOLDMAN,SACHS&CO.REG 1.79%

どこまで続くの?な感じですが、

一応、第一生命の株主は、

  • 日本トラスティ・サービス信託銀行 4.6%
  • みずほコーポレート銀行 4.5%
  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.25%
  • STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 3.15%
  • 損害保険ジャパン 3.0%
  • 三菱東京UFJ銀行 2.2%

きりがなさそうなので、いい加減この辺でストップしておきます。

少なくとも、日本の大手金融機関の上位株主に、米国系外資が多く存在しているのがわかりました。

日本企業の大株主まとめ

我々の巨大な年金資産を管理しているなかには、

ステートストリート、メロン銀行など米国系の外資が多いようですね。

よく、「じつは日本経済は、外資に牛耳られている

という話があるのは、これら外資系の持ち株比率の高さから来ているようです。

また、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の前身が、チェースマンハッタン信託銀行というロックフェラー財閥系であることも、同じような考えを後押ししています。

 

日本マスタートラスト、日本トラスティ・サービスには、株式会社ではない日本生命保険など日系企業の影響も強いものの、少なからず外資も食い込んでいるのがわかりました。

さあ、あなたはどう考えますか?

と謎の問題提起をさせていただいて、まとめとします。

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